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『グレイトヒッツ』関連商品レビュー

 

製品版『グレイトヒッツ』自体のレビューと、攻略本等の関連商品のレビュー。
また、本ページの最後に直接的な商品レビューではない余談を記載。

 

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関連商品一覧
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まず、製品版『グレイトヒッツ』そのものを含む関連商品の一覧。
「レビュー掲載雑誌」などについては情報が不足している為、抜けている事については予めご了承を。

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商品名 媒体 メーカー 管理コード等 発売時期・価格 備考
グレイトヒッツ体験版 プレイステーション用
CD-ROM1枚
●配布元
エニックス
●開発
ウィズ、ジーク、
システムサコム
●楽曲提供
ソイツァーミュージック
●ゲーム型番
SLPM80313
●配布時期
1998年中
●価格
非売品
紙ケース入り
パッケージ印刷は、
製品版と同一デザインが
赤黒2色刷り
プレプレ Vol.14 プレイステーション用
CD-ROM2枚組
(片方は別作品)
●配布元
ソニーコンピュータ
エンタテインメント
●開発
多数企業
●型番(本体)
PCPX96126
●レガイア伝説体験版
PCPX96127
●配布時期
1998年10月中
『グレイトヒッツ』のCMを収録している
パッケージとタイトル画面では
『プレプレ 先取り情報CD-ROM Vol.14』
と表記されている
2枚組の片方は他社作品
『レガイア伝説』の体験版
グレイトヒッツ プレイステーション用
CD-ROM1枚
●販売
エニックス
●開発
ウィズ、ジーク、
システムサコム
●楽曲提供
ソイツァーミュージック
●ゲーム型番
SLPM86125
●JANコード
4988601003148
●発売日
1998/10/29
●標準価格
5800円(税抜)
『グレイトヒッツ』製品版
バージョン違い等は無い?
現在アーカイブス配信なし
価格はパッケージに記載
グレイトヒッツ公式ガイドブック 書籍(攻略本)
A5・左綴・本文80P
エニックス ●ISBNコード
ISBN4-87025-423-9
●書籍JAN上段(国際)
9784870254237
●書籍JAN下段(国内)
1920076012389
●発売日(初版)
1998/11/19
●定価
1238円(税抜)
表紙の背では
『グレイトヒッツ
Dance the GREAT HITS Groove
公式ガイドブック』
とタイトルを表記
グレイトヒッツ究極本 書籍(攻略本)
A5・左綴・本文128P
KKベストセラーズ ●ISBNコード
ISBN4-584-16085-6
●書籍JAN上段(国際)
9784584160855
●書籍JAN下段(国内)
1920076013003
●発売日(初版)
1998/11/25
●定価
1300円(税別)
大まかな内容が
表紙に記載されている
グレイトヒッツ サウンドトラック 音楽CD-ROM
1枚
●販売
Sony Records
●製作
ソイツァーミュージック
●CD型番
SRCL4438
●JANコード
4988009443898
●発売日
1998/12/12
●税抜価格
2039円(税抜)
●定価
2141円
定価の消費税率は
当時のものだがパッケージに記載
パッケージの背では
『「グレイト ヒッツ」サウンドトラック』
とタイトルを表記
全6曲
グレイトヒッツ プレイヤーズブック 書籍(攻略本)
A5・左綴・本文128P
アクセラ ●ISBNコード
ISBN4-87300-008-4
●書籍JAN上段(国際)
9784873000084
●書籍JAN下段(国内)
1920076012006
●発売日(初版)
1999/01/14
●定価
1200円(税別)
現在最新最後の
『グレイトヒッツ』関連商品

以下、発売(配布)順にレビュー。
『グレイトヒッツ』製品版本編のレビューは2番目に記載。

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【ゲーム】グレイトヒッツ体験版
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▼▼▼▼▼▼▼▼「体験版」ではなく「VC集」▼▼▼▼▼▼▼▼
ゲームの体験版というと、現在もそうではあるのだが
プレイステーションの時代でも「最初のステージや特定の1コースを遊べる」というスタイルが普通。
しかし、『グレイトヒッツ体験版』は体験版にして既に、本作製品版の世界観を順守した
「ビデオクリップ13本詰め合わせ」となっており、操作は一切出来ない。

当サイトの「体験版まとめ」ページでも記載した通りだが、
VC本体・ロード画面の宣伝用一枚絵ともに再生順番は一定となっており、
タレント1組につき1本のVC、全員分である13本目が流れたら再び1本目からループする。

なお、体験版に収録されているVC中で使用されている曲・機材・素材は
(曲名に誤字があるFスーパー除いて)基本的には製品版と同一である他、
VCによっては「ライバルクリッパー作VC」、および「タレント初登場時VC」という形で
製品版にほとんどそのまま収録されている。

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▼▼▼▼▼▼▼▼「VC集」の形を取っている目的の推測▼▼▼▼▼▼▼▼
「VC集」の形を取っている目的は3つあると推測している。

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●第1の目的を推測
小難しい操作を抜きにして、『グレイトヒッツ』の舞台となっているノイズシティにおける
「VC視聴者の目線」に立ってもらう事で純粋に興味を引く事にあった
のではないだろうか?
本作の「クリッパー」は、現実の職業で言えば「映像作家」に相当する。
本編の「VCメイカー」パートの仕様上、映像編集ツールとしては相当簡略化されているとはいえ
「なんだか複雑そう」「高いセンスが必要そう」といった気軽ではなさそうなネガティブなイメージを
ユーザーに持たせない為に「VCメイカー」パートを丸ごと廃したと考えれば納得はいく。

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●第2の目的を推測
「単なる製品版のスケールダウンバージョン」としてではなく、『グレイトヒッツ』製品版購入後も
「『グレイトヒッツ体験版』という単体のソフトとして愛用出来る」ようにしたかった
のではないだろうか。
起動したら電源を切るまでノンストップで13本のVCがリピート再生され続ける、という思い切った仕様は
「たまに思い出した頃にVCをずっと垂れ流したくなる」というタイプのプレイヤーにはうってつけだろう。

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●第3の目的を推測
「ソイツァーミュージックから提供された楽曲を披露したかった」という音楽面からのアプローチ。
ソイツァーミュージックからの依頼や協定といった、ビジネス上の都合との並行かもしれない。
取説にVC用楽曲のアーティストが全曲分掲載されているくらいなので、それくらいは考えられる。
グレイトヒッツのキャラクターデザインや素材デザインに似合う良曲揃いなので、問題は無い。

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▼▼▼▼▼▼▼▼『グレイトヒッツ体験版』の小さな難点▼▼▼▼▼▼▼▼
体験版という事もあり些細な点ではあるが…。
●体験版の難点その1
まず、「一切の操作が出来ない事」が難点。
「起動した時から自動でVC13本を順番にリピート再生する」という構成自体は問題無いのだが、
任意のVCを選んで再生したり、再生中のVCを本編同様スタートボタンでスキップしたり、
といった操作を追加で行えない点が少々惜しい。

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●体験版の難点その2
そしてもう一点、こちらは体験版だけではなく製品版でも同じ問題を抱えている事なのだが、
一部の曲や一部のタレントは「スーパー(字幕)がVC中で使用されていない」
もしくは「スーパーのデータが存在しない」せいで曲名・タレント名が体験版単体では不明
となっている。
タレント名は基本的に音楽用語や楽器の名前等をモチーフにしている為キャッチーなネーミングが多く、
曲名は一度聞いたら忘れられないような尖ったネーミングのものが多いため、
「インディーズシーンの曲を取り入れている」とアピールするという観点で言えばややマイナスか。
・タレント名の一例:「ピアニシモ」→音の強弱指示、「ユンロー」→雲鑼という中国の打楽器の一種
・曲名の一例:「Do! That! But! Q!」「dA! gA! dA!」といった勢いのある英題、「マドンナ80」とった独特の題名

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▼▼▼▼▼▼▼▼「かっちょい〜」という標語にふさわしい体験版▼▼▼▼▼▼▼▼
当ページでは細かい点まで色々と言及してしまったが、
実際のところ製品版でも体験版でも細かい事をいちいち気にする必要性は薄い。
なぜかというと、製品版パッケージにおいても体験版においても
「かっちょい〜」というアバウトで感覚を重視するフレーズを標語として掲げているからだ。

製品版においてゲーム中での高評価を本気で狙う、ゲーム中の評価仕様はさておき
実際の映像としてのクオリティを上げる…といった領域まで意識するこだわり派のプレイヤーや、
本職の映像作家がプレイするとなれば流石に話が変わってくるだろうが、実際のところ
製品版の「VCメイカー」による映像編集操作は相当簡略化されており
VC製作自体は感覚を頼りに素人が作ってもうまく形にしやすく設計されている。


感覚だけを頼りにしたくない理論派のプレイヤーや、自信を持てないプレイヤーに対しても
「段階を踏んだ具体的なアドバイスが多量にある」「VCが収録されているので具体的なイメージがしやすい」
といった明確なサポートが製品版作中で行われているので、しっかりフォローは出来てはいるのだが
ゲームという事で基本は「かっちょい〜」と思う自分のセンスやノリを頼りに楽しめばいいのかもしれない。
『グレイトヒッツ体験版』は、前述のように「面白そう」というイメージを抱かせてくれるソフトとなっている。

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【ゲーム】プレプレ Vol.14 (プレプレ 先取り情報CD-ROM Vol.14)
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▼▼▼▼▼▼▼▼プレイステーション公式ファンクラブ特典1998年10月号▼▼▼▼▼▼▼▼
●『プレプレ』シリーズと『Vol.14』の概要
『プレプレ』というシリーズは、厳密には「ゲーム」ではなく「販促グッズ」の一種。
販促グッズであるため市販はされておらず、非売品となっている。

時期的には『グレイトヒッツ』がリリースされる(1998年10月29日)何年も前から、ソニーによる
プレイステーション公式ファンクラブ「PlayStation CLUB」(プレイステーション・クラブ)が存在していた。
『プレプレ』シリーズはファンクラブ会員特典の「PS専用CD-ROMマガジン」であり、
『プレプレ Vol.14』もしくは『プレプレ 先取り情報CD-ROM Vol.14』は、1998年10月号に相当する。

1998年10月時点で発売を控えた様々な当時新作プレイステーションソフトの体験版、
当時最新寄りの発売済ゲームのおまけメモリーカードデータやスペシャルムービー、
そして発売を控えた当時新作のCMが、解説文章つきで収められている。

なお、『プレプレVol.14』は2枚組でありディスク1が『プレプレ Vol.14』本編、
ディスク2は『レガイア伝説』体験版となっているのだが
『グレイトヒッツ』以外の作品の情報についてはここでは割愛させて頂く。

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●『グレイトヒッツ』の30秒CMを収録
なぜ『プレプレ Vol.14』をここで紹介したのかというと、理由はやはり『グレイトヒッツ』関係。
CM集である「プレプレシアター」に『グレイトヒッツ』の30秒CMが収録されているのだ。

プレプレの取説では『グレイトヒッツ』は「サウンドイマジネーション」という
非常に前衛的なジャンル名が付けられているのだが、なかなか興味を引くジャンル名である。
「プレプレシアター」での説明では「RPG要素のあるビデオクリップ製作」である旨が説明されるが、
CMの映像自体は前述の『グレイトヒッツ体験版』同様、ほぼVCの映像のみに絞られており
RPGパートやVC製作パートの情報はほとんど流れていないので、一見やや抽象的な雰囲気に感じる。
しかし、勢いのある男性のナレーションで内容や世界観の説明は大雑把には行われている為
総合的にはきちんとポイントを押さえたCMになっていると評価出来る。

「30秒」という短い時間の中でグレイトヒッツの魅力を伝える事は出来ているように感じるが、
おそらく「『グレイトヒッツ』のCMは地上波テレビで流れなかった」ように筆者は記憶している。
きちんとCMが放映されていれば、『グレイトヒッツ』の知名度が当時の時点でも
相当高くなっていたのではないか…と考えると、あまりにも惜しい所だ。

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【ゲーム本編】グレイトヒッツ
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▼▼▼▼▼▼▼▼「ビデオクリップ製作」がテーマの「RPG」という稀少なゲーム▼▼▼▼▼▼▼▼
●ジャンルが既にすごい
『グレイトヒッツ』は、そもそも「ジャンル選定自体が稀少」であるゲームだ。
ジャンルは「ビデオクリップ製作」と「RPG」の組み合わせであり、非常に斬新。
本作の舞台となる近未来の都市「ノイズシティ」は、ビデオクリップが大流行し、
一種の文化として根付いているという極めて尖った世界観を持っている。
その最中、VC製作を生業とする大手企業「ハーモニー・メジャー・レーベル」の
門を叩いた新米クリッパーの若者「ポップ・チップス」の視点で本作の物語は描かれる。

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●『グレイトヒッツ』の目的
目的も各ステージでの行動原理も、基本的には取説の最初に書いてある通り
世界ナンバーワンのビデオクリッパーを決める「ビデオクリップアワード」にノミネートする為に
所属企業「ハーモニー・メジャー・レーベル」の中でクリッパーとして活動し、
「ノイズシティ」で名を馳せ、「最終的にVCアワードを制する事」に集約される。

複数の「ステージ」に区分けされたシナリオを進行させる上で
近未来の映像作家らしくもあり、ゲームらしくもあるイベントも発生するが
主人公・ポップのクリッパーとしての目標がブレる事は最後まで無い。

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▼▼▼▼▼▼▼▼キャラクターデザインと素材デザインの振り切ったセンス▼▼▼▼▼▼▼▼
とにかく「パッケージのデザインが世界観を表し切っている」、の一言。
実際、『グレイトヒッツ』は最初から最後までパッケージのイメージそのままの世界である。
特徴的な顔立ちと体型のキャラクターデザインはもちろんの事、街並みや背景といったアクセサリーや
ビデオクリップ製作パートにおける数百の素材のデザイン、果てはユーザーインターフェースに至るまで
サイケデリックでアーティスティックなものに統一しようという強固な意図を感じる。

パッケージのタイトルロゴ横に座る、パーツがシンプルながら極めて特徴的な顔立ちと体型のピア。
裏面の画面写真上で活き活きとしている、やはりピア同様に特徴的な風貌のジョアとカストラート。
完成度は高いが、振り切ったデザインで「絵柄が好みではない人を振り落とす」気まんまん
筆者は大ハマりしたが、筆者の友人知人の中では意見が真っ二つに分かれたという経験もある。

こればかりは「完成度」ではなく「好み」の問題であるため、評価はしづらい。
しかし、繰り返すが『グレイトヒッツ』のデザイン全般の完成度は非常に高い。

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▼▼▼▼▼▼▼▼RPGパート用BGMとVC用楽曲と「コーラスのみ」の独創的なボーカル▼▼▼▼▼▼▼▼
●BGMと楽曲
本作のVC用楽曲は全部で35曲存在する。
それとは別にRPGパート用楽曲やシステム用楽曲も20曲以上存在し、
各シーンの雰囲気を盛り上げる良曲揃いではあるのだが…やはりウリは、VC用の楽曲だろう。
VC用楽曲は、コピーライトに名を連ねる「ソイツァーミュージック」アーティスト陣が提供している。
取説に各曲の担当アーティストの一覧が記載されているので、1998年当時の
ソイツァーミュージック所属アーティストに詳しい人ならば、さらに良さが分かるかも?

筆者は音楽業界の知識が皆無だが、専業の音楽レーベルのアーティスト陣による楽曲は
「VC用楽曲はゲーム用ではなくビデオクリップ用である」という事をより強く実感させてくれる。
RPGパート用のBGMはゲーム用BGMとしての趣が強い為、うまく雰囲気が差別化出来ている。

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●ボーカル
また、VC用楽曲のボーカルも本作ならではのスタイルなので二重三重に驚かされる。
ほとんどの曲には、れっきとした「作詞」担当と「ボーカル」担当のアーティストが存在し、
後に発売された「グレイトヒッツ サウンドトラック」に収録された楽曲の内容でも分かる通り
本来は「人間の言語による正式な歌詞」と「正式なボーカル」が存在するはずなのだが、
ゲーム中でのボーカルは、「マシンボイスとして大幅に加工された」非常に不明瞭で
何と発音しているかが分からない「コーラスのような音声のみ」に意図的に変更されている。

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▼▼▼▼▼▼▼▼圧巻のボリュームと広大なバリエーションを誇るVC用楽曲ボーカル▼▼▼▼▼▼▼▼
●とてつもないボーカル収録数
しかも、J-POPにロックにバラード、テクノやラップ、
果てはレゲエや演歌まで取り揃えたVC用楽曲の幅の広さを持ちながら
恐るべき事に「歌詞のある全曲に全タレントのボーカルデータが用意されている」豪勢さ。
楽曲は前述の通り全35曲で、その内インストゥルメンタル(ボーカル無し)は1曲だけ。
13組のタレント達に用意されたボーカルのデータは、全7種類存在している。

つまり、単純計算「ボーカルが全部で238曲分(7種×34曲)存在する」広大なバリエーション。
「元となる音声データ」が男女2パターンのみ収録されていて「再生時に高さをいじる」ような
システムとなっていたとしても、「ボーカル68曲分(2種×34曲)」というのはかなりの量である。
実際はアレンジ楽曲などの関係も絡みもあるが、それでも大ボリュームである。

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●無茶も出来る
「VCに出演するタレントが楽曲のボーカルを担当する」という設定に確かに忠実ではある為、
タレントのイメージに合った楽曲を使用する正統派の(常識的な)VC製作はもちろんの事
「筋骨隆々の男性タレントが、明らかに女性アイドルソング用の楽曲のボーカルを担当する」
「本格的なラップなのに、キッチュな容姿のかわいらしいタレントがボーカルを担当する」

といった、一発ネタにしか思えない組み合わせにも真摯に取り組む事が可能となっている。
これは、音楽関係のゲームの常識では考えられないほど懐が深いと言えるのではないだろうか?
なお、作中こういった「楽曲とタレントのミスマッチ」についてタレントが言及する場面もある。
(バラード向きのタレント「カストラート」が序盤でハードロック曲「黙示録」に苦手意識を示す)

ここまでに触れた要素はBGM、楽曲、ボーカル、いずれも他に類を見ないほど斬新だが、
「ボリュームと容量圧縮の両立」の観点や、「絵柄との統一感」の観点でも秀逸なアイディアだ。
単なる音声加工やボーカル削除ではなく、コーラス風の歌い方に統一する事で不自然さは感じにくい。
タレント数やグラフィック素材の豊富さもさることながら、容量を大きく使いやすい「曲」が
初代プレイステーションの使用媒体であるCD-ROM、しかもたった1枚に
これほどまでにぎゅうぎゅうに詰め込まれるとは、驚嘆に値する。

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▼▼▼▼▼▼▼▼デザインと世界観を活かしたRPGパート▼▼▼▼▼▼▼▼
本作のRPGパートは、舞台である「ノイズシティ」を表現する為に
とにかく雰囲気とデザインを追求している印象を受ける。
複数存在する「街」毎の特色をとらえつつ、どこもかしこもアーティスティックで浮世離れ。
渡辺けんじ氏のデザインしたキャラクターや、サイケデリックな雰囲気を盛り上げてくれる。

例えば本拠地「メインタウン」は、いかにもビデオクリップ製作の総本山という大げさなイメージ。
最初に訪れる街「べガスタウン」は夜景の街中で何もかもが物理的に眩しく光っていて照明が好きそう。

そのように、デフォルメされた特色のおかげで単純に未経験のプレイヤーが覚えやすくなっていたり、
見たまんまの特色が「街別に存在するVC評価基準」や「好かれる機材や素材」の
ほぼ解答に近いヒントになっていたり
と、突き抜けたデザインは巧みに活かされている。
それに加え、「絵面でほのめかす」だけではなく実際に街中には「好み」や「ブーム」等について
詳しく説明してくれるNPCが各地に存在している為、フォローも万全だ。

RPGパートでのキャラ達のグラフィックは2Dのドット絵である事に加え、
建物やオブジェクトの大半が平たいポリゴンに表裏テクスチャーのみの平たい板状。
初代プレイステーションの処理能力の丈に合いつつも、本作の世界観に合った
独特な表現を選定した点についても高く評価すべきポイントだ。

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▼▼▼▼▼▼▼▼RPGパートの「おそらく意図的な」問題点▼▼▼▼▼▼▼▼
しかし、RPGパートは問題点も目立ってしまっている。
まずはデザインを重視している事に起因する視認性の問題が若干ある他、
ゲームの展開や主人公の行動があくまで「主人公・ポップの主観」である為に
「RPGとしては便利かつ半ば当たり前の機能がことごとく搭載されていない」のだ。

意図的にこのような設計にしたような印象を強く受けるのだが、
ハッキリ言ってこれはRPGパートとしては正直言ってかなり痛いマイナスだろう。
具体的に挙げるとなると、例として以下のような問題点が浮かんでくる。
「重箱の隅をつつく」程度の、極度のやり込み派プレイヤー以外にとって瑣末な点も同時に挙げる。

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●特に目立つRPGパートの問題点
RPGパートのローディングが「画面切り替え毎」に発生する為、少し頻繁で長め
・「店や建物の前に立つと概要が表示される」ような機能が無い(建物に入るとロードが挟まってしまう)
・チュートリアルを終えた直後のステージ3でいきなり「RPGパートの仕様の穴」を突いた展開を迎える
ほぼ全てのチッキンの曲が「タレント契約後の提供」なので、予備知識が無ければ二度手間になりやすい
・新しいタレントと契約可能になっても、そのタレントの「タレントスーパー」の販売場所がノーヒント
・拠点等でステージ課題曲を受け取っても「曲スーパー」がなぜか外売りで、販売場所もノーヒント

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●ある程度気になるRPGパートの問題点
・「ルーラ」等に相当する、拠点や過去行った事のある場所への一発移動コマンドが無い
・現在地、所持金、お題、課題曲といった基本的情報の大半をメニューで確認出来ない
・売り物VC所持状況は要自力記憶、「趣味VC」か「正式リリース用VC」かの区別が完全に不可視
・前ステージでどこにVCをリリースしたかの情報と、現状のタレント契約状況がメニューで確認不可
・機材や素材の説明文が「目当てのアイテムにカーソルを合わせてボタンを押下」しないと表示されない
・バーゲンセールの開催状況や、街中から情報を得られる「ブーム」も、要自力記憶

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●重箱の隅をつつくような細かいRPGパートの問題点
・主人公の公式名は存在する(取説・攻略本には記載)が、主人公名入力時にデフォルト名が無い
・VCでタレント達を救出するイベントを経るが、アワードノミネート失敗時にその活躍は一切考慮されない
・僅かだが「取り逃したまま進んでしまうと取り返しがつかない要素」が存在する(具体的には「同業者VC11本」)
・本編クリア後常設イベントの仕様がやや雑で、各種情報や景品内容が完全なノーヒント

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●問題点をまとめつつ考察すると
一言で言えば「原則どの情報も自力で管理・把握する」必要があり
細かい情報は自社ラボ室に戻って「セカンドマシン」を閲覧する必要がある。
意図的にそう設計したのか、うっかりそうなってしまったのか、
結果的にはとにかく「かゆい所に手が届かない」不便かつシンプルな仕様なので
クリッパーである主人公・ポップ自身が直接各地に足を運び、
機材や素材や各地の人物を直接見て回るというアクティブな行動に
プレイヤー自身もシンクロする必要があるのだ。

しかし、自己管理と自己責任が基本にして全てというゲームデザインとメンタリティは
「ゲームをしている」というよりも「社会人として仕事をしている」という方がずっと近い。

RPGとしての操作感やユーザビリティを犠牲にしてでも、敢えてクリッパーとしての
主人公の仕事ぶりをプレイヤー自身に追体験させたかったのでは
…と推測する事も出来るが、
こういった「無駄とも思えるリアルさ」は低年齢層や、ゲームをやり慣れない人には厳しいだろう。
本作を取っ付き辛く、敷居を無意味に高くしている要素であるという評価を受けても仕方が無い。

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●人によってはちょっとキツいかも
「シビアな映像作家の業界の職業体験」という意味では説得力があると感じるのだが、
それはRPGではなく経営シミュレーション等の「緻密さ」を求められるジャンルの役目なのでは?
本作にバグやゲームバランスを根底から崩すような現象もほとんど無い為、
全体的に堅牢な開発が行われたであろう事は強く伝わってくるのだが…。
本作をクリア出来ずに途中で投げ出した、という話も多く聞いてきた原因はこの点にあるのだろう。

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▼▼▼▼▼▼▼▼ビデオクリップ製作ツールとしてはどうなのか▼▼▼▼▼▼▼▼
本作のVC製作パートは、ビデオクリップ製作ツールとしての完成度が極めて高い。
グラフィックのある素材はいずれもデザインが秀逸である事はもちろん、
エフェクトやチェンジメイク、ブラックメイク等の映像の追加挙動を司る素材も幅広い。
本職の映像作家の視点で見たらどう感じるのかまでは分からないが、
少なくとも「やりたい事が何でも出来そうだ」と素人に思わせる程に何でも揃っている。

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●ストーリーと並行した流れ
本編の序盤ステージは完全にチュートリアルに徹している為に、
独特な仕様でありながらビデオクリップ製作の事がきちんと覚えられるようになっている。
チュートリアル以降は「ビデオクリップアワード」までお題が順番に提示されるおかげで
段階を踏んでほぼ全機材に一通り触れる機会が用意される事も好感が持てる。

いきなり膨大な種類の機材や素材の中に放り出されてしまい、何をどうすれば良い分からず
持て余して試行錯誤しまくる…という事態に陥らないように考えられた構成も相まって、
ビデオクリップ製作ツールとしては「初心者から上級者まで満足」と断言出来る。

なお、本編エンディング後は確固たるイベントがほぼ無くなり、
VCの製作を無制限に行えるようになるという要素もあるので存分にVC製作を堪能しよう。

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●一応VC製作パートにも少し問題点はある
ただし、問題点が全く無いわけではない。
些細ではあるのだが、本作のVC製作作業上の問題点を強いて挙げるとすれば
・隠し曲ほぼ全曲の「曲スーパー」が未実装
・機材「マーキングメイカー」は機能的な存在意義が非常に薄い
・「マーキングメイカー」関係の採点基準が不必要かつ理不尽(「グレイトヒッツ究極本」参照情報)
・「COLLECT」したVCの起用タレントと使用曲がデータをロードし再生するまで判別不能
という感じだろうか。
「ここがフォロー出来ていれば完璧だった」くらいのものなので、気にするほどではないかも?

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▼▼▼▼▼▼▼▼『グレイトヒッツ』レビュー総評』▼▼▼▼▼▼▼▼
●数行でまとめると
『グレイトヒッツ』について本編レビューだけでも長々とした文章になってしまったが、
ここまでに記載した内容を踏まえつつ手短にまとめれば
「デザインで人を選ぶが情報量と作り込みが凄まじい」
という言葉と
「『グレイトヒッツ』は先駆者であり1998年当時のオーパーツである」という言葉が適切か。

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●発売から15年以上経った2014年時点情勢の中で見る『グレイトヒッツ』
この文節は2014年、『グレイトヒッツ』発売15年以上経過した状況でのものである。
『グレイトヒッツ』が発売された1998年当時とは違い、現在は
美麗な3Dモデルを動かす技術も開発環境も、フリーソフトなり商業ソフトなりという
非常に幅広い形で、プロの現場や専門教育の場はおろか、アマチュア層にも浸透している。
ゲーム等のキャラのグラフィックデータとして開発・使用する事はもちろん、
動画等に使われている事も動画サイトを覗いてみれば実感出来る事だろう。
背景の合成や製作も、イラストの製作や加工などについても同様の事が言える。

歌についても数多の著名な「音声ソフト」や「ボーカルソフト」が既にいくつも世に出ており、
環境の整い方としては3Dモデルの開発と同様の事が言える状況となっている。
3Dモデルや音声ソフトではなく、実写と生歌といったベクトルがメインだったとしても、
技術面・マシンパワー面の何もかもが1998年当時とは比べるべくもないほど進歩し、
今もリアルタイムで進歩を続けている事は想像に難くない。

それだけに、「現在のグレイトヒッツ」に相当するゲームらしい後継作品の登場も待ち遠しい。
ライト層には敷居が高いジャンルである以上、商業的には難しい事なのかもしれないが…。

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【攻略本・エニックス】グレイトヒッツ公式ガイドブック
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▼▼▼▼▼▼▼▼「公式ガイドブック」の大まかな内容▼▼▼▼▼▼▼▼
・『グレイトヒッツ』全般のアバウトな説明
・全タレント紹介、全曲一覧
・要点に絞った全ステージの攻略記事
・採点仕様の穴を徹底的に突いた「超簡単なグレイトヒットVCレシピ」の提示
・VC製作例数本
・ショップと素材の一覧

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▼▼▼▼▼▼▼▼攻略本第一弾だけに質実剛健な内容▼▼▼▼▼▼▼▼
グレイトヒッツの攻略本は前述の通りエニックスによる「公式ガイドブック」、
KKベストセラーズによる「究極本」、アクセラによる「プレイヤーズブック」が発行されているのだが、
「公式ガイドブック」は発売日を見て頂けると分かる通り、攻略本第一弾に相当する。

『グレイトヒッツ』販売元であるエニックス主導の書籍、かつ本作攻略本第一弾という事で
全体的に取説やゲーム中のデザインや雰囲気に忠実な作りとなっている。
本編は敷居が高く、複雑に思いやすい作りになっている為、
「グレイトヒッツの雰囲気は気に入ったけど分かりづらい」と思いつつも
自力でエンディングに辿り着く事を諦めかけたプレイヤーを救済する事を
最大の目的にしているのではないだろうか?

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▼▼▼▼▼▼▼▼エンディング到達やアイテムコンプリートに必要な情報は揃う▼▼▼▼▼▼▼▼
総括すると、本文の構成は良くも悪くも遊びの無い作りとなっている。
キャラ情報、各ステージ進行手順、全アイテムや全楽曲の入手方法、そして
半ば反則技の「グレイトヒット基準を易々と超えるVCレシピ」という最終兵器のような情報も付属。
イベント進行上、必ず高評価のVCを提出しなければならない場面がいくらか存在している為、
コツがなかなか掴めないまま当該イベントで躓いて投げそうになった人も安心出来る。
ページ数の少なさについては、「コスト削減の為」という側面も兼ねているのだろう。

エンディング到達およびステージ11進行を諦めさせない、まさしく
「クリアに攻略本が必要な人」を最優先対象として捉えた素直な作りである事がうかがえる。
また、本書に掲載された情報は全アイテム・全曲のコンプリートも可能な質と量を持つ。

ファンブックや資料としての価値は「究極本」や「プレイヤーズブック」に軍配が上がるので、
既にクリア済のプレイヤーは、「攻略本をこの目で読んでみたい」もしくは
「攻略本を3種全て集めたい」と思わない限りは購入を後回しにしてもいいかもしれない。
プレイする意欲のあるプレイヤーをエンディングに導いてこそ、「攻略本」。
その方向性はブレていない点はグレイトヒッツの「攻略本」として高く評価すべきだ。

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【攻略本・KKベストセラーズ】グレイトヒッツ究極本
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▼▼▼▼▼▼▼▼「究極本」の大まかな内容▼▼▼▼▼▼▼▼
・グレイトヒッツ究極本オリジナル案内キャラ「ファンキー富士山」の紹介(全編にわたる解説役)
・VCとは何か、ノイズシティやクリッパーとは何か、といった世界観のディープな説明
・各機材やセカンドマシンの細かい説明
・詳細な説明込みの各ステージ攻略
・各種コラムや補足攻略情報
・その他各種マスクパラメーターや隠し仕様についての詳細な解説多数
・VCの評価仕様や、イベントでのVC提出時のクリア条件等の具体的な解説
・譜面付きVC例
・映像作家「高城 剛」氏インタビュー、ソイツァーミュージックの楽曲提供アーティスト陣紹介
・機材素材一覧

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▼▼▼▼▼▼▼▼かなり突っ込んだ内容の「ファン向け」な一冊▼▼▼▼▼▼▼▼
グレイトヒッツ攻略本第二弾は、「究極本」シリーズのひとつとしてリリースされた。
世界観に合わせた「グレイトヒッツ究極本」オリジナルの案内キャラまで用意する凝り様に
始まり、「ビデオクリップとは何か」「ゲームの流れを一目でおさらいしたい」といった極めて丁寧な
補足解説も加え、前半ページからいきなりフルスロットルでカッ飛ばしてくる内容となっている。

それ以降も、質実剛健な構成だった「公式ガイドブック」とは方向性が異なり
マスクパラメーター等の仕様の公開や、映像作家「高城 剛」氏へのインタビュー、
グレイトヒッツへ楽曲を提供したソイツァーミュージック所属アーティスト陣紹介など
「グレイトヒッツを極めたい」という人や「グレイトヒッツの事をもっと知りたい」という人の
知的欲求をガンガン満たすような内容が目白押し。

高密度の情報を秘めた、存在感の大きい書籍となっている。

クリア前の人が攻略本として進行と並行して閲覧する用途に堪えうる内容である事はもちろん、
「公式ガイドブック」よりも大きく誌面を取る事で分かりやすくなった
アイテムリスト等の存在も相まって、クリア目当てでもやり込み目当てでも隙が無い。

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▼▼▼▼▼▼▼▼もはや「社外秘仕様書」に等しい資料まで公開する豪胆さ▼▼▼▼▼▼▼▼
本書は全体的に隙が無い作りで完成度が高い豪華な構成なのだが、
最大のポイントは「マスクパラメーターの解説」や「VC採点仕様の公開と解説」にある。

『グレイトヒッツ』は作業感を軽減させる為に意図的にマスクパラメーター等の要素が多くなっており、
VC採点仕様が大雑把にしかプレイヤー側が把握出来ないようになっている
という旨が
後述の「グレイトヒッツ プレイヤーズブック」P52〜54の開発者インタビューで解説されている。
それ程に秘匿された情報である為、「プレイヤーによる逆アセンブルや解析」を秘密裏に行わずとも
公式サポートされるという事は徹底的にやり込みたいプレイヤーからすれば重大な出来事であろう。

「究極本」シリーズに名を連ねただけあり、本書を徹底的に読み込んで喜べる程の
やり込み派プレイヤーや、『グレイトヒッツ』ファンにとってはネタバレにはならないと思われる。
深く突っ込んだ情報を求める程の熱心なファンになる頃には、さすがに自力で
エンディングを見るくらいには進行出来ているはずなので、そういった解析情報や
社外秘仕様書公開に等しい資料は、あくまで上級者向けのおまけと言える。

総括すると、本書はまさしく「グレイトヒッツ究極本」の名にふさわしい一冊となっている。
単純なクリア目標の攻略本としても十分だが、『グレイトヒッツ』ファンであればあるほど
資料的価値が跳ね上がっていく一冊だ。

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【サントラ】グレイトヒッツ サウンドトラック
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▼▼▼▼▼▼▼▼「サウンドトラック」とは呼べなくなるほど大規模な収録漏れ▼▼▼▼▼▼▼▼
『グレイトヒッツ』は「VC用の曲」だけでも全35曲もの楽曲が存在する他、
RPGパートでのみ流れるものなど「VC用ではない曲」も20曲以上存在する。
本サントラの収録曲が全6曲である事を見れば分かる通り、単純計算で
「VC用の楽曲だけでも8割以上(31曲)の収録漏れがある」事に加え、
「本編RPGパートBGMやシステムBGMがほぼ全曲収録漏れ」という、
「サウンドトラック」の名を冠する製品としては前代未聞の大規模収録漏れを起こしているので
ハッキリ言って「サウンドトラック」という名称は詐称に近いものであり、非常にマズいと思うのだが…。

本サウンドトラックは、コピーライト表記やライナーノーツでのスタッフ記載等を見る限り、あくまで
「販売元ソニーレコーズと楽曲提供元ソイツァーミュージック主導で製作されたサントラ」と思われる。

そういった点も加味すると、一介のユーザーから見れば『グレイトヒッツ』本編発売後に
「ソイツァーミュージックと開発・販売4社が揉めた」、もしくは
「ソイツァーミュージック側と所属アーティスト側で揉めた」、
最悪のパターンとしては「その両方」ではないか…と邪推せざるを得ない。

筆者は一介のユーザーであるため実際のところは分からないが、
単純に未収録曲があまりに多すぎて「サウンドトラック」の体を成していない有様。
サントラではなく純粋な「ソイツァーミュージック所属アーティストのコンピレーションアルバム」と考えたとしても
「70分は収録出来るCD-ROMに5割以上の空き容量が出る」程に収録ボリュームが不足している点は
揺るがぬ事実である為、『グレイトヒッツ』のファンである筆者でも残念ながら擁護の余地は見当たらない。

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▼▼▼▼▼▼▼▼「ゲームのサウンドトラック」としての総評と「一枚のCD」としての総評▼▼▼▼▼▼▼▼
「ゲームのサウンドトラック」というカテゴリーの製品として見れば最底辺レベルであると
一介の『グレイトヒッツ』ファンとして、ゲームのサウンドトラック好きとして、敢えて断言する。

サウンドトラックとしてはそこまで厳しい評価を下さざるを得ないのだが、
収録された6曲の楽曲自体は、『グレイトヒッツ』ファン垂涎の名曲揃いである事を忘れてはいけない。
それだけに、なぜこのような収録方針も収録内容も中途半端な『グレイトヒッツ サウンドトラック』が
世に製品として出てしまったのか
が悔やまれるし、より一層深い疑問となってしまう。

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▼▼▼▼▼▼▼▼『グレイトヒッツ』の再評価と未来に賭けたい▼▼▼▼▼▼▼▼
とにかく…細かい事情を抜きに考えても、あまりにももったいなさすぎる一枚。
いつか「ゲームアーカイブス」等での『グレイトヒッツ』本編の配信や
再移植・リメイク・続編といった何らかの機会で本作や楽曲が再評価され、
サウンドトラックの再収録や配信等の補足対応が成される事に一縷の望みを賭けたい。

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【攻略本・アクセラ】グレイトヒッツ プレイヤーズブック
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▼▼▼▼▼▼▼▼「プレイヤーズブック」の大まかな内容▼▼▼▼▼▼▼▼
・おそらく「渡辺けんじ」氏のものと思われる手描きマップ
・主人公「ポップ」とVCメイカー画面右上のクマ「テディー」のかけあいで進行する各ステージ攻略とコラム
・エニックス「藤本 広貴」氏、ウィズ「宇津 英治」氏、ウィズ「小林 賢次」氏への開発者インタビュー
・一部VC用楽曲の一部パート楽譜紹介

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▼▼▼▼▼▼▼▼「プレイヤーズブック」の名の通りの主人公・ポップへの感情移入▼▼▼▼▼▼▼▼
『グレイトヒッツ』最後の関連商品にして、最後の攻略本である「グレイトヒッツ プレイヤーズブック」。
一応攻略本にカテゴライズされる内容であり、未クリア者が攻略本として使用しても
「エンディングまで進行可能なだけの情報」をきちんと網羅した内容ではあるのだが、
全体の構成や記事の切り口が「公式ガイドブック」「究極本」とは大きく異なる、
非常に興味深い書籍に仕上がっている。


基本的に本書は全編通して本編主人公「ポップ」(公式デフォルト名)視点で、
VCメイカー画面右上にいつも表示されているクマに人格があり
「テディー」(名称は本書オリジナルの可能性あり)という名前がある…という独自設定が存在している。
「ポップとテディーの掛け合い」という形でステージ進行と共に物語が綴られていくスタイルが
貫かれており、本書は攻略本の一種でありながら疑似的な小説のようになっている。
そのように特殊な構成の攻略本は、非常に珍しい。

なお、本来『グレイトヒッツ』本編でのクマに人格は無く、名前も公開されていない。
本編取説では「くまのぬいぐるみ」と呼称され、本書開発者インタビューでも「クマ」と呼称されるのみ。
主人公・ポップも基本的にプレイヤーの分身であり、『グレイトヒッツ』本編におけるセリフは少数。

しかし、本書は「ポップとテディーの二人三脚の物語でもあった」という仮定の下で
「主人公から見た等身大のグレイトヒッツの世界」が文章で広がっているのだが
ポップの口調や性格は概ねゲーム中での選択肢などで表示される数少ないセリフの傾向に忠実で、
半ば本書オリジナルキャラであるテディーもポップの良き相棒・良き先生としてキャラが立っている。
『グレイトヒッツ』本編をやり込んだプレイヤーでも、自然に読んでいけるはずだ。

本書の各ステージ攻略は、ポップに感情移入して最後まで読んでみよう。
エンディング後の世界である「ステージ11」に辿り着いた時、本書独自の視点で描かれた
ポップとテディーの関係がどのような結末を迎えるのか…是非、その目で確かめてほしい。

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▼▼▼▼▼▼▼▼制作者側情報の開示量の多さもポイント▼▼▼▼▼▼▼▼
疑似的な小説のようなスタイルである事の他、本書の大きな特徴は「制作者側情報の開示量の多さ」。
開発者インタビューで商業的、開発事情的にかなり突っ込んだ内容まで明かされている他、
一部楽曲の楽譜まで掲載されているなど「他2冊のフォロー」を役目とした感が強い。
それだけに、「公式ガイドブック」および「究極本」には存在したアイテム一覧などが
かなり簡易的にのみ掲載されており、誌面が小さい事についても合点がいく。

本書単体としては「情報量が控えめで偏り気味だが凝った攻略本」くらいの評価かもしれない。
しかし本書は、「公式ガイドブック」と「究極本」の2冊が本書と組み合わさる事で
『グレイトヒッツ』における最高級のファンブックへと評価が変わってくる。

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【余談】ユーザー目線で『グレイトヒッツ』を取り巻く状況
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ここからは『グレイトヒッツ』自体、および関連商品へのレビューではなく「余談」。
「作品単体のレビュー」からかけ離れた、下世話な推測を含むのでご了承を。

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▼▼▼▼▼▼▼▼「渡辺けんじ」氏のネームバリューを押し出さない理由が謎▼▼▼▼▼▼▼▼
●「渡辺けんじ」氏八面六臂の活躍のはずが
本来、発売時期的に『グレイトヒッツ』最大級のセールスポイントであるはずが、なぜか
体験版ローディング画面のセールスポイント解説以外ではほぼ触れられていない事がある。
それは、「『グレイトヒッツ』のキャラクターデザインがウィズの渡辺けんじ氏である事」だ!

パッケージでは「サイケなグラフィック世界」「グラフィックもいっちゃってるよ〜!!」といった
デザイン方針を端的かつ的確に表したキャッチフレーズはしっかり踊っているし、
当然スタッフロールや取説のスタッフ一覧には氏の名前は載っているのだが
氏のネームバリューを利用する方向では特に展開されていない。

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●秘匿とまでは言わないが
なお、本ページ冒頭で記載した通り『グレイトヒッツ』が発売されたのは1998年10月29日。
1996年に最初のバージョンが発売された「たまごっち」が社会現象となった数年後であり、
1997年に最初のバージョンが発売された「デジモン」が軌道に乗り始めた時期の事である。


渡辺けんじ氏の名前はもちろん、氏が『グレイトヒッツ』以前にメインデザイナーとしてデザインを行った
初期の「たまごっち」と「デジタルモンスター」、そしてテレビ番組「よいこっち」の名前を
体験版同様に強調して多くのライト層や過去作品ファンにジャブを仕掛けていくのが、
ジャンルの都合上「敷居が高い」イメージが先行する『グレイトヒッツ』のセールスとして正解ではないか、
という発想が素人目線、一介のユーザー目線では出てくるのだが…実際の所はいかに。

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▼▼▼▼▼▼▼▼絶大な不安が募るセールス面の実情▼▼▼▼▼▼▼▼
『グレイトヒッツ』について多角的にレビューを行うするとなれば、
決して避けられない話題がひとつある…そう、「セールス面」についての実情だ。
筆者はあくまで一介のユーザーであり決して開発関係者ではなく、
当時の販売業の関係者でもない事を予め断わっておく。

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●再生産や再販が行われないまま『グレイトヒッツ』CD-ROM絶版
筆者は本作発売以降、多くのゲームショップで『グレイトヒッツ』を目撃してきた。
表現は悪いが、実情としては「エニックス販売作品で屈指の投げ売り率」と言わざるを得ない。
発売5年後の2003年、初代プレイステーション末期の頃には中古どころか新品未開封でも価格は100円程度。
つまり、数値上の金銭価値としては「0円」と大差のない最低クラスの価格に暴落しきっていた。
俗に言う「ワゴンセール」というものである。

通常、商業ゲームはある程度以上ヒットしていれば発売日以降も追って再生産が行われるのだが
『グレイトヒッツ』については一切の再生産が行われていない事が残念でならない。
プレイステーションの開発販売元・ソニー主導による廉価再販版「ザ・ベスト」も発売されず
エニックスがスクウェアと合併後「スクウェアエニックス」となり、2006年から2007年にかけて
廉価再販したシリーズ「アルティメットヒッツ」および「レジェンダリーヒッツ」を立ち上げたものの、
『グレイトヒッツ』は「アルティメット」「レジェンダリー」対象外のまま両シリーズが終了
タイトルの「ヒッツ」という単語は共通するが、残念な事に両者が交わる事は無かった。

また、2007年が両「ヒッツ」シリーズや「ザ・ベスト」の過去作タイトル追加の最終年であると同時に、
ソニーは2006年11月22日以降、PSPやPS3への過去作配信「ゲームアーカイブス」へ
初代プレイステーション作品の再販・再リリースのメインの場を移行している。
つまり「プレイステーション対応ソフト『グレイトヒッツ』CD-ROM版は絶版となった」のだ。

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●「セールス面が奮わなかった」と断定せざるを得ない根拠
筆者はゲーム業界やゲーム販売業界の関係者ではない為、
『グレイトヒッツ』の具体的なセールス本数までは分からないのだが、
前述の通り「再生産も再販も一度も行われないまま絶版」という事実と
「発売数年後以降ずっと『グレイトヒッツ』が捨て値で投げ売りされている」という実情を
照らし合わせると「いかに『グレイトヒッツ』のセールスが奮わなかったか」は浮かび上がる。

「売上でゲームの完成度が決まるはずはない」という事は当たり前だが、
セールスが奮わなかった作品の行く末がどうなるかは言わずもがな。
そう、ユーザー目線で言えば「続編や後継作の登場が絶望視」という事態に陥るわけだ。
再販や配信がどうのこうのという、悠長な物言いをしていられない事態に。
「長い年月を経て隠れた名作を発掘」では、あまりにも遅すぎる。

実際、発売から15年経って2013年になっても『グレイトヒッツ』の続編や後継作は存在しない。
前述の繰り返しだが、2006年11月から「ゲームアーカイブス」で初代プレイステーションの
ソフトの配信が始まって久しいにもかかわらず『グレイトヒッツ』は未だ配信されていない。
現在も「ゲームアーカイブス」配信タイトルは増加しているので、望みが無い訳ではないが…。

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●恐ろしい推測
ここからは筆者の推測に過ぎないのだが、おそらく本作『グレイトヒッツ』は
「開発・販売に関わった5社全てに大きな損害をもたらした」のではないかと思う。
そう思う根拠は「5社共同である」という常識外れな規模、エニックス販売である点、
膨大なデータ量、膨大な楽曲のボーカル量、攻略本が3種類もリリースされた、
起用されたソイツァーミュージックのアーティストがライト層でも認知される大物揃い、
といった少し想像するだけでも枚挙に暇がないほど「推測の根拠となる理由」が転がっている。

数ヶ月後に発売された「グレイトヒッツ サウンドトラック」が、製作にあたり何らかの
トラブルがあったのでは…と邪推せざるを得ない完成度である点も根拠のひとつ。
どれほどの人数で、どれほどの工数がかかり、予算がどれほどなのか想像もつかない。

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▼▼▼▼▼▼▼▼『グレイトヒッツ』の行く末の想像▼▼▼▼▼▼▼▼
一介のファンに過ぎない筆者でさえ『グレイトヒッツ』の現状が悔しいのだから、
開発・販売に関わった関係者の方々の悔しさは筆舌に尽くしがたいものだろう。
それだけに、『グレイトヒッツ』はこのまま埋もれては絶対にいけないと
単なるファンでしかない筆者に使命感さえ抱かせる完成度と魅力を秘めた作品だ。

本作を埋もれさせず現在の広い層に再評価されるとなれば、まずは
「ゲームアーカイブス」の配信による再評価を期待する事が現実的な展望だろうか。
『グレイトヒッツ』は確かに人を選ぶ雰囲気やキャラクターデザインではあるし、
RPGパートにある程度の問題点もある事も事実ではあるだろう。

しかし、ここまでに書いてきた通り、それをはるかに超える魅力が詰まっている。
そう思うのが筆者だけなどではない事を、祈ってやまない。

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●『グレイトヒッツ』攻略記事初アップ:2003年11月06日(木)
●「関連商品レビュー」コーナー追加:2014年06月15日(日)
●最終更新:2014年08月16日(土)

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